eat with season
料理研究会と食のコラム
息子が幼稚園に入園し、私のお弁当作りが始まりました。
彼は、生まれた時から虚弱で食が細く、入園時には重い喘息をかかえてました。
年少のGW明けから始まったお弁当。
食の仕事をしていたって、最初のお弁当はドキドキしました。
そんな息子のお弁当、私が心の中でなんとなく決めていたことといえば、
子供らしいお弁当というよりは、とにかく食欲をそそるお弁当。
残してもいいから、季節のもの、美味しいもの、を作ろうと決めていました。
幼稚園3年間のお弁当を振り返ってみると、何歳の何月ごろのお弁当か見ただけでわかります。
そして、その時々の彼の様子や、自分の心の波、その日その日の空気までよみがえって来るような、そんな気がします。
私はお弁当が大変だと思ったことは一度もないし、息子がきれいに食べてくれることがただただ嬉しかった。
時々同じお弁当を自分も食べると、離れた場所で食べても一緒にいる気がして。朝で出がけにちょっと機嫌悪くしたことなどを「ごめんね」って思えたり。こんな小さい箱の中に詰めた、毎日のお弁当が私と息子の繋がりの一つになっているんだと感じます。
お弁当は、食べ手の好みや、体調、量など細かなことを考えて詰め込むだけでなく、メッセージを詰めることもできるのだと3年間作ってみて感じました。自分が続けて作ってみて、友人が毎日娘と息子のためのお弁当をインスタにアップしているのを見ても、母のメッセージが溢れていて、見ているだけで感動するようにもなりました。
食のホスピタリティーとは、食材への感謝と食べ手への優しさ、この2つに尽きます。そしてそこに、季節のエスプリが含まれることで今を一緒に生きている、小さな感動とともに、自然を感じるそして敬う気持ちが生まれる。それは知らず知らずのうちに、微々たる記憶としてでも息子にも伝わっているのではないかと思います。作り手と食べ手が食を通して深く繋がるということ、そしてその喜び。私が幼稚園の3年間のお弁当づくりで学んだ一番大きなことだと思います。
初夏には、山椒の葉をふうわり入れて、食べなくてもお弁当を開けたときに香りがします。
夏の天津飯はうっすらアオサの餡で磯の香りを。
2019年11月27日