eat with season
料理研究会と食のコラム
息子が幼稚園に入園し、私のお弁当作りが始まりました。
彼は、生まれた時から虚弱で食が細く、入園時には重い喘息をかかえてました。
年少のGW明けから始まったお弁当。
食の仕事をしていたって、最初のお弁当はドキドキしました。
幼稚園3年間のお弁当を振り返ってみると、その時々の彼の様子や、自分の心の波、その日その日の空気までよみがえって来るような、そんな気がします。食の細いか弱い息子が、きれいに食べてくれることがただただ嬉しかった。
時々は同じお弁当を自分にもつくりました。離れた場所で食べても一緒にいる気がして。朝で出がけにちょっと機嫌悪くしたことなどを「ごめんね」って思えたり。こんな小さい箱の中に詰めた、毎日のお弁当が私と息子の繋がりの一つになっているんだと感じます。
大切な人に作る一つ一つのお弁当は、メッセージです。食べ手の好みや、体調、量など細かなことを考えて詰め込む。色も大事です。今、お弁当の写真を見返してみても、いつ頃のお弁当か季節か、その香りまでもがわかる気がします。また、人のお弁当を見ても感動するようにもなりました。
食のホスピタリティーとは、食材への感謝と食べ手への優しさ、この2つだと考えています。そしてそこに、季節の要素が含まれることで、今を一緒に生きている小さな感動とともに、自然を感じる。いいなと心が潤う感じと同時に、自然や食事を用意してくれた人敬う気持ち“感謝”が生まれる。「いただきます」と手をあわせる。
だから、子供のお弁当であっても、季節のものをその時の美味しさで届けることは、作り手と食べ手が食を通して深く繋がるということに欠かせません。その対話、そしてその喜び。それが「お弁当」というもの。
私が幼稚園の3年間のお弁当づくりで学んだ一番大きなことだと思います。
初夏には、山椒の葉をふうわり入れて、食べなくてもお弁当を開けたときに香りがします。
夏の天津飯はうっすらアオサの餡で磯の香りを。
2019年11月27日
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