eat with season
料理研究会と食のコラム
1年前から、ベーグルを開発するお仕事があって、1年間、東京にいるときはとにかく日々ベーグルを焼きました。
ベーグルは食べる専門で、NYに行った時には必ず何件か行くし、東京でも有名なお店はもちろん食べ込んでいるから、お美味しいベーグルがあったら買う、食べる、というベーグル愛はもちろん持ってました。その中でも、私はベーグル本体というよりも、スプレッドとか具を選ぶ場面が好きだったり、特に旅先のNYでベーグル屋さんに行ってあれこれ挟んでもらうのは、観光の一つみたいなところがあって、食べる楽しさをいつも感じてました。
もちろん、作り方は知っていたし、工程の想像はできていたのですが、実は自分で焼いたことはなく、、レシピ開発のお仕事でしたので、お引き受けする前にまずは、昔からの知人で尊敬するパンの作り手さんにベーグルの作り方を教わるレッスンをしてもらいました。
今思えばあの自信はどこから…と自分でも呆れるのですが、入門したばかりなのになぜだかできるという確信を持てたので、そのお仕事をお引き受けしました。なぜなら、ベーグルを食べることは楽しかったですが、作ることはそれ以上にとても楽しかったのです。丁寧に楽しくレッスンをしていただいたことも本当に有り難く、あの日がなければベーグル屋さんを立ち上げることはなかったかもしれないです。
それからとにかく焼きました。cuocaに毎日行って、あらゆる小麦粉を試しました。完全なオタクです。
ある時は、砂糖を変え、熟成の時間を変え。
静かな音楽をかけて、生地をこね、淡々と作業をし、またベーグルを発酵させる合間にはコーヒを沸かして本を読む。レシピのメモをまとめたり、メニューを書き留める作業などをして、ベーグルの日には、ベーグルを焼くだけでなく充実した朝の過ごし方という恩恵がありました。
夏になって、秋になって、クリスマスがきて、飽きずに焼き続けました。日によってこんなに違うか、と思うほど水分の温度や加減、時間、室温、湿度に左右されました。どうにも失敗して捨てたこともあります。食べきれなくて、ご近所さんにも試作途中のものを何度も食べてもらったり。
結局私がレシピに関して最終的に重要事項として添えたことは「温度や湿度で水加減が判断できない人はこの工程を担当しないでください。」ということ。自分のコンディションさえも出来栄えに影響する、これが小麦の世界、発酵の世界なんだなと。判断するには経験しかない。1年を通してどんな日も作ることで、その加減を熟知するができる。たくさんの人に食べてもらって、おいしかったかな、硬かったかな、細かいことを気にして気にして、細かな向き合いが生まれる。ピッツァイオーロ、パン職人、蕎麦職人が、料理という枠とはまた違う分野で、また違う感覚を使う仕事なんだなということを、身をもって理解した経験でもありました。
あれから一年経って、私のベーグルも研究を経て美味しくなりました。一周回ってこの季節になりました。自然発酵させている生地にとっても良い時期だったこともあり、これかな、という完成系が見えた瞬間がありました。部屋中に広がるベーグルの焼ける香りと、その合間に飲むコーヒーの香り、今日も流れるノラジョーンズ。新緑がそよぐバルコニーの空気。穏やかで平和な朝。幸せな朝。幸せな香り。
上手くできたベーグルは、福井の両親に送ります。
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