食の企画開発室 Amond

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お蕎麦日記2

食べものの中で、麺類の中でとりわけ「蕎麦」が好きです。
福井という蕎麦処で育ったこともあり、20代前半まで福井の蕎麦が一番美味しい、と思って生きてました。
他の地方や県によっては、蕎麦屋さんがそんなにないものですが、東京は蕎麦屋がすごくたくさんある。
なので、お蕎麦屋さんがいっぱいある東京は、都会だけどどこか親しみやすいようなところがあり、安心でした。
でも、江戸の蕎麦は、蕎麦文化と言えるほど、福井で経験した「蕎麦」というものとは別のものでした。
東京の「蕎麦屋」というものは、食事どころ、酒どころとしても伝統と文化があり、
粋かどうかという客の姿勢も含まれているかのような独特の世界観があります。
商品はもちろん、ホスピタリティー、オペレーション、ブランド力などトータル的にみても、
特別な業態、食文化遺産の一つだと私は思っています。

そんなお蕎麦屋さんが都内に何軒かありますが、私が東京で一番最初に出会った蕎麦屋さんは「神田まつや」。
東京下町育ちの職場の先輩に連れて行ってもらったことがきっかけでした。
古めかしい大衆的なその蕎麦屋が、あまりにも洗練されて見えて、かっこよく、
洗練とはモダンでお金をかけた空間だと思っていた自分が、すごく田舎ものなんだな、と思えた瞬間でもありました。

そこから余裕を見つけては、歴史あるの蕎麦屋さん、甘味処、鍋屋さん、お寿司屋さんに隈なく通いました。
中でも神田、銀座には、ヨーロッパの旧市街のような店舗や面白いものがいっぱい埋まっていて、
田舎ものだったからこそなのか、その食べ歩き街歩きが楽しくて。東京に住んでかれこれ20年。
私の中の一番の遊びと言ったら今も街と食の散策です。

さて、「神田まつや」さん。
いつ行っても相変わらずおおらかで、安心で楽しいお店です。
うちの息子の蕎麦屋デビューは、もちろんここ、まつやさんでした。
裏には神田藪そばがあってそちらに比べたら庶民的で、せっかちだけどのどかな風情がある。
働く人の動きにも無駄がなく、嫌なところがない。
もちろん、蕎麦は美味しいし、さっと食べて次はどこに行こう、という軽さがある。
腹八分目で、心は満タン。そんな清々しい帰り道を味わえる。
私にとってはいつまでも、大都会東京の、その旧市街のど中の真ん中にあるような大切なお店です。
先につまみを2,3頼んで昼から小瓶で一杯。〆にもりそば1枚。予算は一人3000円程度。
ここで受けた心地よさ、満足感がいつも初心へと帰らせてくれます。

  • 神田まつや | 遠田明子の食日記つれづれ
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2021年6月7日

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